疾患関連糖鎖・タンパク質の統合的機能解析 大阪大学21世紀COEプログラム
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研究課題:リサイクリングエンドソームを中心とした細胞小器官ネットワークの解明

■研究代表者プロフィール
田口友彦 Tomohiko Taguchi (PhD)
大阪大学大学院医学系研究科・21世紀COE特任准教授

1992年東京大学理学部生物化学科卒業。1997年東京大学大学院理学系研究科修了、理学博士。理化学研究所基礎科学特別研究員を経て、1999年より米国エール大学医学部細胞生物学部門(Dr. Graham Warren / Ira Mellman研究室)に留学(1999-2001:日本学術振興会海外特別研究員; 2001-2002:上原記念生命科学財団ポストドクトラルフェロー; 2002-2004:日本学術振興会長期在外若手研究員)。2004年4月より現職。
研究代表者:
田口友彦(生化学・医学系研究科・COE特任准教授)
研究協力者: 武田裕一(生化学・特任研究員)
三崎 亮(CREST研究員)


研究概要


 リサイクリングエンドソーム(以下REと略す)は核近縁部に細胞種を問わず存在する細胞小器官であり(図1)、エンドサイトーシスにより細胞内部へと取り込まれた物質を細胞膜へとリサイクルする際に必要な細胞小器官として1980年代初頭に認識された比較的歴史の浅い細胞小器官である。我々はREが古典的な物質のリサイクリングの経路のみならず、ゴルジ体から細胞膜へと至るエキソサイトーシスの経路にも関与していることを近年明らかにした。またコレラ毒素などの細胞膜から小胞体へ向けて逆行輸送される物質に関してもRE通過の必要性を見出している(投稿中)。これら一連の結果は、ゴルジ体ではなくREこそが細胞内膜輸送経路における中央配送センターとして機能している可能性を強く示唆するものである(図2)。またRasタンパク質などの脂質修飾タンパク質がREに濃縮して存在する観察結果は、REが単なる膜輸送の中継地点として存在するのではなく、シグナル伝達の発生・中継地点としても機能していることを示唆するものであり興味深い(投稿準備中)。
 さて、どのようにこの複雑に交差する膜輸送経路をリサイクリングエンドソームが制御しているのであろうか?特殊なプローブ(金コロイド・鉄コロイド)を用いたREの生化学的単離・rabタンパク質の網羅的スクリーニングなどを通じてREレジデントタンパク質の同定を行うことによって、この疑問を解明しようと現在取り組んでいる。



図1:COS-1細胞のRE
細胞外から蛍光標識したトランスフェリン(赤)を細胞に取り込ますことによってREを可視化。Golgi体(緑)に囲まれた稠密な領域に存在することが見てとれる。

図2:RE上で交差する膜輸送経路
REで3種類の膜輸送が交差している。


最近の代表的な論文


1) Mitra K, Ubarretxena-Belandia I, Taguchi T, Warren G, and Engelman DM. Modulation of the bilayer thickness of exocytic pathway membranes by membrane proteins rather that cholesterol. Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 101, 4083-4088, 2004.
2) Ang AL, Taguchi T, Francis S, Folsh H, Murrells LJ, Pypaert M, Warren G, and Mellman I. Recycling endosomes can serve as intermediates during transport from the Golgi to the plasma membrane of MDCK cells. J. Cell Biol., 167, 531-543, 2004.
3) Taguchi T, Pypaert M, and Warren G. Biochemical sub-fractionation of the Mammalian Golgi apparatus. Traffic, 4, 344-352, 2003.
4) Seemann J, Pypaert M, Taguchi T, Malsam J, and Warren G. Partitioning of the matrix fraction of the Golgi apparatus during mitosis in animal cells. Science, 295, 848-851, 2002.
 

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Integrated functional analyses of disease-associated sugar chains and proteins, Osaka University